自分を洗脳してしまうバイアスという心理の落とし穴

私達は思い込みの影響を受けている

今回は、人間の判断や行動に影響を与えている“バイアス”に関する記事を書きました。
バイアスというのは、思い込み、思考の偏りのことです。
このバイアスは誰もが持っています。

あなたもバイアスを持っていますと告げると
「私は思い込みなどせず、常に冷静に物事を判断できるし、行動を間違うこともない」
と思っている方もおられるかもしれません。
そんな方ほど、最後まで読んで頂ければと思います。

特に行動ができない人、挑戦ができない人、他人の夢をつぶすようなことを言ってしまう人、他人の成功に嫉妬ばかりしている人は、自分が持っているバイアスによって判断基準や行動にも影響が生じています。
人間は、気をつけていないと自分自身のバイアスに洗脳され、何かを判断したり、行動しているのです。

今回の記事は、私も含めてバイアスの影響をどのように排除するかということについて思っていること、実践していることについて書いてみました。

■私達の判断と行動を狂わせる様々なバイアス

バイアスにはいろんなタイプがあるので、その一部を紹介します。

・アイコンシャスバイアス

これは無意識のバイアスです。
例えば、『大企業や公務員は安定している』など、無意識にそう思っているから中小企業の情報を得ようとしないなど、自分の行動を無意識に制限したり、促進しているバイアスです。

・確証バイアス

無意識に自分に都合の良い情報ばかり集めて、その情報によって判断してしまうことです。
例えば、ある企業に入りたいと思ったら、自分に都合の良い側面だけを見てその企業に入社してからブラック企業だと知り後悔するというようなバイアスです。

・内集団バイアス

自分が所属している集団は、他の集団よりも優れていると思ってしまうことです。
この意識が集団の強さを保っていることもありますが、これが強くなると外部の集団に対して差別意識が強くなってしまいます。

・ハロー効果

一つの特徴的な情報に囚われ、その他の情報もその特徴の影響を受けて判断してしまうことです。
相手の学歴を知ることで、相手の人格が良い、または悪いという判断をしてしまうバイアスです。

・ハンドワゴン効果

多数の人の判断の方が個人の判断よりも優れているという思い込みです。
テレビなどで宣伝されている商品の信用度が高いのも、多くの人が知っている、選んでいるという思い込みがあるからです。

■思い込みが評価や判断を狂わせる

スポーツでもビジネスでも、バイアスが影響して正しい評価や判断が出来なくなってしまうことがあります。
実例では、『メガネをかけたキャッチャーは大成しない』という思い込みによって、古田さんは大学を卒業する時にドラフトで声が掛からなかったし、本当ならヤクルトでもスカウト候補に入っていなかったそうです。
それを当時監督だった野村克也さんが、「古田を獲る」と独断で判断してヤクルトに入団して、野球界を代表するキャッチャーになったんです。

多くの人は、才能は確かで結果も出していた古田さんを見ても、『メガネをかけたキャッチャーは大成しない』というバイアスが掛かって正しい評価ができていませんでした。
その中で、多くの人の意見に影響されず独断で古田さんを獲ると決めた野村さんは、バイアスに惑わされない人だったと言えます。

私達の誰もが何らかのバイアスは持っていて、おそらく野村さんもバイアスは持っていたと思いますが、大切なことはそのバイアスの影響を排除する方法を持っているということだと思っています。
おそらくですが、野村さんは野球の成績や能力の数値など、客観的な数字と野球人生で見てきた選手の成長傾向など、事実に基づいて判断するという方針を持っていたのではないかと思います。

■あなたは自分を正しく評価できていますか?

この記事の最初の方に「私は思い込みなどせず、常に冷静に物事を判断できるし、行動を間違うこともない」という方こそ、最後まで読んでくださいと書いていましたが、それはあなたが1つのバイアスに囚われている可能性があるからです。
それは、“ダニング=クルーガー効果”というバイアスです。

このバイアスは、『能力の低い人ほど自分のことを過大評価してしまう 』というものです。
ダニング=クルーガー効果は、自己評価だけでなく他人の能力を正しく評価することもできないという特徴があります。

能力の低い指導者や上司が、選手や部下の能力を正しく評価することができず、上手く育成できていないということは、スポーツチームや会社などでも起きています。
そんなケースは、指導者や上司がダニング=クルーガー効果を持っている可能性が高いと言えるでしょう。

私達は、このようにバイアスの影響を受けているので、それを自覚してできるだけ影響を排除して物事を判断したり、行動を選択できるようになりたいものです。
オンラインサロンでは、バイアスを排除するための方法についても解説しています。

【キャリアビルト研究所】に興味があるという方は、一度詳細を説明したページをご覧下さい。

アスリートのためのキャリアビルド研究所

この記事を書いた人

衣川竜也

衣川竜也

株式会社AXIA 代表取締役
メンタルトレーナー、心理カウンセラーとして大阪を拠点に活動しています。
このサイトでは、主にアスリートのキャリア構築に関する心理的要素について
記事を書いています。

■Homepage  ■Facebook  ■twitter

この記事を読んだ人は
こんな記事も見ています