競技生活で養った精神的な力を仕事で活かすことができていない

足りない知識と技術ばかり意識して自信が低下している

私は、アスリートは引退をしてからビジネスの道に入ったとしても、競技生活の中で精神的な力を養っているので、それを土台に自分が取り組むビジネスに必要な知識と技術を習得すれば活躍できると考えています。
しかし、引退して新しいことに取り組む時に、その分野に必要な知識と技術を持っていないところにばかり意識が向いて、心細くなり競技生活で身につけた自信が低下して、活力がなくなっている元アスリートも少なくないと感じています。

その結果、自信が低下して活動力がないため、必要な知識と技術の習得も進まないという現実から目を背けるためにお酒やギャンブル、自分の成長を妨げる交友関係、簡単に稼げると言われ他人に利用されてしまう、というような状態に陥ってしまう元アスリートもいるのです。

引退後に元アスリートが現実逃避をしないために必要な意識

上記で取り上げた例のように、新しいキャリアでは上手く結果が出ないという現実から目を逸らしてしまい生活が乱れてしまう元アスリートがいますが、そのようにならないために引退直後に持っておいて欲しい考え方があります。
その考え方とは、以下のようなものです。

『自分は競技生活において努力ができる力を身につけていて、今は新しく取り組む分野の知識や技術は持っていないけど、努力によってそれらを高めていくことができる。 自分はアスリートとして何度も困難を乗り越えてきたから、これからも同じように乗り越えていける。』

この考え方は、自分が持っているものをしっかりと確認して、困難を乗り越えていく力があることを確認しておくこと、自分には足りていないものを自覚して困難に直面するための心の準備をしていくこと、そしてこれまでも努力で自分の力を伸ばして困難を乗り越えてきたことを自分の心の支えとしておくというものです。

アスリートが引退後のキャリアを歩む上で障害となるのは、その分野の知識や技術が不十分で困難に直面することではありません。
困難に直面した時に、スポーツなら努力によって困難を乗り越えてきたことを忘れてしまい、困難に直面したことで努力をする気力が低下してしまうことがセカンドキャリアにおける障害になっていることが多いのです。

アスリートに知って欲しいスポーツで養える心理的競技能力

アスリート、元アスリートには、スポーツで養ってきた精神的な力は、スポーツ以外にも応用することができるため、新しい分野での挑戦する時にその力が大きな武器になるということを知っておいて欲しいと思います。

スポーツで養える精神的な力のことを心理的競技能力と言いますが、それは12種類あります。
この12種類を把握しておくだけでも、スポーツ以外の分野で自分がやっていくことができる力が備わっていることが自覚できると思います。
その能力とは以下の通りです。

12種類の心理的競技能力

忍耐力

忍耐力は、厳しい状況や辛い練習に耐える我慢強さ。チャンスが来るまで耐えるねばり強さ。心理的、身体的な苦痛に耐えることができる力です。

闘争心

相手に対して向かって行く気持ち。不安や迷いを振り払えるほどの相手と戦うという意志。

自己実現欲求

目指している人間像を想像して努力する主体性、自主性。

勝利欲求

勝ちを追い求める気持ちや勝ちたい理由。

自己コントロール能力

欲求を制御して練習に取り組む力。緊張をコントロールして実力を発揮する力。

リラックス能力

休む時には心身を休めることができる力。気持ちを切り替える力。

集中力

意識の焦点を向けるべき対象に向け続けることができる力。

自信

自分の能力や自己コントロール能力への信頼度。実績と努力から生まれる自己肯定感。

決断力

不安や迷いを振り払って自分の行動を選択することのできる力。

予測力

目の前の状況、情報をもとにこれから何が起きるかを想像する力。

判断力

経験や知識をもとに状況を分析して何をすべきか導き出せる力。

協調性

目的達成のために仲間と協力して物事を推し進める力。

自分の強みを知ることが心の支えになる

自分の強みを知っている人は、自己肯定感が高くなり、困難に直面したり、物事が上手くいかない時でも創意工夫をして乗り越える力があると言われています。
上記で紹介した心理的競技能力は、アスリートが競技生活の中で養える大きな強みです。

アスリートとして生活を送ってきた人は、競技生活を送っていない人に比べて心理的競技能力は高い傾向があると思います。
この点は、アスリート、元アスリートが自信を持っていい点だと思っています。
心理的競技能力は、どのような仕事でも必要なものであり、活かすことができる場面はたくさんあるので、それを土台に新しい仕事の知識や技術を向上していけば、その分野でも十分に活躍できるでしょう。

12種類の心理的競技能力というものがあると理解ができたら、その上で自分はその中のどの力が特に高いかを考えてみて下さい。
自分の強みとは、自分の能力の中で比較的高いものです。
他人よりも優れているという比較ではなく、自分の中でより高いと感じる能力を自分の武器として捉えて欲しいと思います。

自分にはどのような力が高いかを知っておくことで、セカンドキャリアも選択しやすくなったり、困難に直面した時にどのように対応するかを想像することもしやすくなるでしょう。
この記事を読んだきっかけに一度自分の中で高いと感じる心理的競技能力が何かを考えてみて下さい。

 

アスリートが直面するセカンドキャリアのハードル

 

この記事を書いた人

衣川竜也

衣川竜也

株式会社AXIA 代表取締役
メンタルトレーナー、心理カウンセラーとして大阪を拠点に活動しています。
このサイトでは、主にアスリートのキャリア構築に関する心理的要素について
記事を書いています。

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