競技生活で感じていたようなモチベーションの高まりが感じられない

引退してからやる気が出ない理由

引退したアスリートの中には、引退後に新しい仕事を始めてもやる気が出ないということに戸惑っている人もいます。
収入を得るためにも働かなければならないのに、仕事をしていくモチベーションが高まらないのです。

モチベーションが高まらないことで仕事を転々とすることになったり、競技生活で得ていた興奮を求めてギャンブルにはまったり、場合によっては違法となる仕事に手を出してしまうという人もいます。
そのようなことにならないために、セカンドキャリアに進む前にスポーツとは別のことを職業にするための心構えを作っておくことが望ましいでしょう。
この記事では、競技とスポーツ以外のモチベーションの感じ方の違いや引退後の仕事でモチベーションが得られるヒントを紹介しています。

引退後の仕事でモチベーションが高まらない理由は人によって多少違いはありますが、元アスリートの話を聴いてきた経験からは、主に下記のような理由が考えられると思っています。

1.競技をしていた時ほどの緊迫感や興奮を仕事では感じられない

スポーツの試合は勝者と敗者が明確に分かれること、他人からの注目や応援をはっきりと感じられることなどから、試合のたびに緊迫感と興奮を感じることができます。
さらに試合が終わって緊張から解き放たれることで得られる解放感も特別なものがあります。

スポーツで感じられる緊迫感や興奮、試合後の解放感に匹敵するような感覚を得られる仕事は決して多くありません。
そのため、引退後に始めた仕事では満足感が得られず無気力になってしまうケースがあるようです。

2.自分の適性を十分に把握せずに仕事を選んでしまった

競技しかしてきたことがないため、自分にできることはあまりないだろうと思ってとりあえず仕事を始めたり、誰かに声を掛けてもらって向き不向きは考えずに就職をしたりすることによって、自分があまり気持ちを込めて打ち込むことができない仕事を選んでしまうということがあります。

もちろん、興味がないけど始めた仕事でも、やっていくうちにやりがいを感じて熱中できたというケースもありますが、自分の能力を活かせている感覚ややりがいを感じられる仕事を選ぶためには、自分の適性を把握して仕事を探した方が良いでしょう。

3.自分の知識や技術が未熟なため自己肯定感が低下してしまう

スポーツでは、ある程度まで現役生活を続けることができていたため、自己肯定感も保たれていたけど、新しく始めた仕事では自分の知識や技術の無さに直面することが増え、自己肯定感が低下してしまうということがあります。

スポーツでプロや実業団選手になれるような人は、子供の頃からスポーツで一定の成功体験を積んできている分、集団の中で自分が全くできないという立ち位置になる機会がなく、そのような状態になった時の心の保ち方がわからないことがやる気の低下につながっていくようです。

引退後のキャリアでモチベーションを高める準備

競技生活には必ず引退がやってきます。
引退をして新しい仕事をする前にいくつかの準備をしておくことが、新しいキャリアでモチベーションを持って活動することにつながると考えています。

モチベーションは期待によって高まる

引退後に仕事を始める前の心構えとして大切なことの1つは、やる気が感じられるようになるためには、仕事流れや展望がわかるようになること、そして仕事で成果を出すための知識や技術が身に付いてきている実感を持てるようになることが必要です。

モチベーションとは、自分の働きかけが物事にどのような変化をもたらすのか予想できるからこそ生まれます。
期待感があるからこそ、目の前のことに取り組もうという気持ちが持てるのです。

正しい努力をすれば成果が出るということを感覚的にわかるようになるとモチベーションは高まるので、そのために必要な仕事の流れや展望がわかるようになること、知識と技術を高めることが必要なのです。
このことを理解しておくだけでも、新しい仕事を始めた頃に感じる無力感に耐えることができます。

自分の適性を把握して職業を選ぶ

引退後に何をするか模索しているなら、自分の適性について考える機会を作って欲しいと思います。
自分は何をしている時に充実感が感じられるか、誰の力になることに喜びを感じられるか、社会の中にある様々な課題の中で自分が気になっているものは何かなど、このような視点を持って何をするかを考えてみて下さい。

引退後に仕事をするとなると、どこかの会社に入る、フリーランスで働く、会社を立ち上げるなど、いくつかの選択肢があるので、自分の適性について考えてどの会社に入るかではなく、どんな職業に就くことがやりがいを感じられるか、自分の能力を活かせるかという視点から仕事を選んで欲しいと思います。

競技生活の中でビジネスの知識や技術を習得しておく

引退後にどのような仕事に就いたとしても、そこで使えそうなビジネスの知識や技術を持っておくと、仕事を始めて早い段階で小さな成功体験を得ることができます。

自分が選択した業種の専門的な知識や技術、所属先のルールなどは仕事を始めてから覚えることになりますが、コピーライティング、マーケティング、マネージメント、経理などの知識や技術を持っておくとどんな仕事でも役立てることができます。
また、SNSでたくさんフォロワーを獲得している人であれば、それができること自体も今のビジネスの世界では有益な特技となるので、新しい分野でも活かすことができるでしょう。

まとめ

競技生活というのは、多くの人が経験することの無い特殊な生活です。
そのため、競技生活を終えて一般的な職種を選んだ場合は、競技生活の中で感じることができていたものを感じる機会は少ないと言えるでしょう。
そのため、競技生活と引退後の生活の違いについてあらかじめ理解しておいて頂きたいと思ってこの記事を書きました。

また、仕事をするということは、競技生活とは違う形で成功体験を得ることができたり、楽しみや充実感を感じることも可能です。
自分が選んだ職種でやりがいを感じて活動できるようになるためにも、引退後の仕事でモチベーションが高まるような準備は参考にして取り組んで頂ければ嬉しく思います。

アスリートが直面するセカンドキャリアのハードル

 

この記事を書いた人

衣川竜也

衣川竜也

株式会社AXIA 代表取締役
メンタルトレーナー、心理カウンセラーとして大阪を拠点に活動しています。
このサイトでは、主にアスリートのキャリア構築に関する心理的要素について
記事を書いています。

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