引退するアスリートに自覚して欲しい社会に貢献できる能力

アスリートの引退と新しいキャリアの展望

毎年この時期になるとプロ野球選手の引退が発表されますが、今年は甲子園を沸かせた2人のスター選手が引退試合を終えました。
皆さんもご存じだと思いますが、埼玉西武ライオンズの松坂大輔選手と北海道日本ハムファイターズの斎藤佑選手です。

この2人の選手は、甲子園で活躍して多くの人の心を引き付けたという共通点と現役の終盤はケガで苦しみ、思うように力を発揮できない葛藤の中で現役生活をつづけたという点です。
そして、引退試合の様子や引退について多くの現役の選手や元選手がねぎらいの言葉を送っている状況から、プレーだけでなく人間性でも周囲の人を引き付けるという共通点があるのではないかと感じられました。

誰かに貢献できる力

松坂選手にしても斎藤選手にしても、甲子園から応援しているファンが多いということもありますが、それ以外にも若い選手たちの模範になる人間性があったからこそ、球団が契約を続けてきた理由なのではないかと思います
プロ野球選手の場合、選手としての一番の価値は一軍の試合に出てチームの勝利に貢献することができる力があるということですが、若い選手が成長するための模範となるということも球団にとっては大きな貢献と感じられるとでしょう。
松坂選手にも、斎藤選手にも、競技力以外で球団に貢献できる力があったと思うのです。

この2人の選手がファンの期待通りの活躍ができない状態で現役選手を続けていることに批判的な意見を持つ人もいたようですが、私は個人的な価値観で評価するのではなく、なぜ球団が彼らを必要としたのかという視点から彼らの価値を想像することで選手が持っている競技力以外の価値に目が向くのではないかと思います。

セカンドキャリアにつながる力

プロ野球選手に限らず、多くのアスリートが引退をして新しいキャリアを歩むとなった場合、求められるのは競技力以外の能力で誰かに貢献することができるかということです。
基本的には現役生活の中では、主に競技力を磨いているので、その他の能力はまだ未開発であることが多いと思いますが、自分にとって競技力以外に磨けば光る能力は何なのかということを感じ取れているということは大切だと思います。

例えば、話術に長けている人ならタレントになったり、試合の解説や講演会などを行うことができるかもしれません。
また現役時代に体の仕組みに興味を持ったとしたら、それをさらに伸ばしてトレーナーのような仕事を目指す人もいるでしょう。
また人が好きで、コミュニケーション能力に長けている人なら、指導者や子供向けの教室、企業での営業など、力を活かせる場所はたくさんあります。

私は松坂選手を見ていると、勝負に関してとても分厚い経験と実績があり、人を引き付ける人間的魅力があることから、指導者として球界に残ったとしたら良い指導者になって野球界に貢献されるのではないかと感じています。
斎藤選手は、話している様子は物静かですが言葉に力があると感じていて、さらに知力がとても高いように感じるので、ビジネスの世界でも結果を残せる人ではないかと思っています。

セカンドキャリアで活躍する為に

私は、セカンドキャリアでも自分の能力を発揮して活躍するためには、自分に対して『競技しかできない』というレッテルを張らずに、自分にとって努力をすれば延びる能力、自分が自然に発している雰囲気、他人に与える影響などを自覚しておくことが現役生活のうちできていると望ましいと思います。
その自覚があると、自分にとってのセカンドキャリアを見つけやすくなる、自分の能力を延ばす努力を早くから始められる、というメリットがあるからです。

現役説活の中で、メディアに出る機会の多い人、人前で話す機会の多い人、競技生活と仕事を並行して行っている人などは自分の競技力以外の能力に気づきやすいと言えますが、競技だけを行って生活している人は競技力以外の能力への気づきは遅くなる可能性があります。
そのため、現役生活の最中から競技力以外に自分はどのようなことに長けているのか、どんなことに興味があるのかを自覚できるように自分に関心を持って生活することが大切なのではないかと思います。

この記事を書いた人

衣川竜也

衣川竜也

株式会社AXIA 代表取締役
メンタルトレーナー、心理カウンセラーとして大阪を拠点に活動しています。
このサイトでは、主にアスリートのキャリア構築に関する心理的要素について
記事を書いています。

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