西山淳哉さん|実業家
アスリートインタビューの第5回目は、ニュージーランドと日本でラグビー選手として活動して、引退後はラグビーを軸に様々な活動を展開されている西山淳哉さんに話を聴かせて頂きました。
西山さんと最初にお会いしたのは、2011年に参加した元陸上選手の為末大さんが理事をされているアスリートソサエティのイベントでした。
それから現在まで友人として長く交流が続いています。
その中で、西山さんが持ち前のバイタリティとコミュニケーション能力でいろんな活動を形にしていく姿を見てきたので、アスリートのセカンドキャリアの一例として紹介させて頂きたいとお願いしてインタビューをさせて頂くことになりました。
西山さんの活動からは、アスリートとして身につけた挑戦する姿勢、試行錯誤して前に進み続けた体験が、デュアルキャリアやセカンドキャリアを確立していく力になるということが良くわかると思います。
プロフィール
西山淳哉(にしやま じゅんや)
1979年生まれ 43歳
埼玉県在住
出身 北海道生まれ、名古屋育ち
競技歴と主な戦歴
ラグビーとの出会いは高校入学後。
高校時代にラグビーにのめり込み、大学は立命館大学へ進学してラグビー部に入部。
選手としての転機となったのは2度のアキレス腱断裂。
この時にケガを直して絶対に4年次にレギュラーになるという目標を立てて練習に取り組む。
当時、ニュージーランド人のコーチがいて、控えのチームで試合に出ていた時の活躍を評価され、レギュラーに抜擢される。
この経験があったからこそ、卒業後にもう少し現役生活を続けたいと考え、思い切ってラグビーの強豪国であるニュージーランドに留学する。
1シーズンをニュージーランドで過ごし、帰国後は三菱重工相模原ラグビー部(現三菱重工ダイナボアーズ)で2シーズン活動して、再びニュージーランドに渡り4 シーズンプレーする。
その時期にイーストコースト州代表にも選ばれた。
帰国後、拓殖大学ラグビー部コーチを経て日本IBM ラグビー部プロ契約選手としてプレー。
チームが企業チームからクラブチームへと変わり、自身の処遇もプロ契約からアマチュア契約となったが、42歳まで現役選手として活動。現役生活と並行してラグビースクールを開校。
また、ラグビーで得た競技経験や海外生活、語学力などを土台に幅広い分野で活動中。
ラグビー選手から実業家へ
西山さんは、現在幅広い分野で活動されていると感じるのですが、どのような思いでセカンドキャリアを築いておられますか?
高校時代からラグビーを続けてきて、選手として活動する場を求めて海外に行ったりもしているので自分の人生の軸はラグビーだと思っています。
今やっている様々なこともラグビーから広げて行っているという感覚です。
ラグビーと子供達の成長の支援を結び付けたところにラグビースクールの運営と指導、保育園や幼稚園でのラグビー体験の提供、夢先生としての活動があります。
ラグビースクールは、ラグビー指導を手伝ってもらっている人達がいるので、ラグビーを仕事にする機会の提供もできているのかなと思っています。
また後進の育成という点では、ラグビーコーチ向けの研修講師なども務めさせて頂くこともあります。
オリーブオイルの販売も行っていますが、これはイタリアに行った時に出会ったオリーブオイルが美味しくて、日本でも販売したいと思ったのでほぼ衝動的に始めたことではありますが、ラグビーを通じて海外生活をしていて身に着いたコミュニケーション力や海外への興味関心が土台にあったから行動できたことのように思います。
他には、趣味としてキャンプをはじめたところから始まって群馬県の北軽井沢で別荘を買ったのですが、そこを自分でリノベーションをしてラグビースクールの子供達とキャンプをしたりするなど、子供達に体験を提供する機会作りをしています。
一見バラバラなことをしているように見えるかもしれませんが、自分の中ではラグビーを軸に行動をして、行動した中で出会った人や得た機会を次につなげて活動の幅を広げているという感じです。
では、1つ1つの事業を詳しく教えて下さい。
子供たちにラグビーを教える活動をされていますが、具体的にはどのような活動をされていますか?
ラグビースクールは、一般社団法人パルシップというものを立ち上げ、その中の主軸の事業として行っています。
場所は千葉県松戸市で、小学生と中学生を対象に行っています。
初心者からでも参加して頂けるスクールです。
この他にも品川区の保育園、幼稚園で体験教室という形でラグビーを教えています。
この活動は、縁あって一つの幼稚園で体験教室を行ったところ、その内容を気に入って頂いた園長先生の働きかけで品川区の大半の保育園、幼稚園で実施させて頂くようになりました。
夢先生という活動をされていますが、これはどのようなものですか?
夢先生は、JFAこころのプロジェクトの「夢の教室」で子供達に夢を持つことや、その夢に向かって努力することの大切さ、仲間と協力することの大切さなどを伝えるという活動です。
対象は、小学5年生と中学2年生で、アスリートが自身の競技体験や引退後のキャリアについて話をすることで、将来についての具体的にイメージをするきっかけにしてもらうことを目的としています。
この活動は、10年間続けていて私自身が夢先生をすることもあれば、夢先生のアシスタントをすることもあります。
オリーブオイルの販売もしていますよね?
とても美味しいのでよく買わせてもらっています。
イタリアのシチリア島に旅行した際にレヴァンテ ラ シチリアというオリーブオイルを口にする機会があり、その美味しさに感動して輸入販売をすることを決めました。
競技生活をしていて食の重要性をよくわかっていたので、感動した勢いで日本に輸入しようということになりました。
アスリートは、試合やトレーニングによる身体のダメージ回復のため、良質なたんぱく質と一緒に抗酸化ビタミンのビタミンA、C、Eを一緒に摂取することが望ましいのですが、エキストラバージンオイルにはビタミンEが含まれているので、このオリーブオイルの普及は食という観点からアスリートの支援になると思っています。
北軽井沢に別荘を買ったということですが、これも事業として何かしようとされているんですか?
キャンプに興味を持つようになったのですが、キャンプに行く時にその都度場所を予約することが面倒だなと思って、思い切って群馬県の北軽井沢に別荘を買いました。
衝動的に買ったところもありますが、結果としてラグビースクールの子供達に家や両親から離れて仲間と生活するという体験を提供することが出来ていて、ラグビーとは違う成長の機会を提供するという事業になっています。
本当に幅広い活動をされていますね。
現在のように活動を広げていく中で意識してきたことはありますか?
意識していることは、体験価値を売るということです。
ラグビーの指導に関しては、自分の体験の中で大切だと思ったことをラグビーを通じて伝えていくようにしています。
極論を言えば、他のスポーツでも生きるために大切なことを伝えることが出来ますが、私はラグビーをしてきたのでそれを通じて子供達の人生の糧になるような体験を提供していきたいと思っています。
そんな活動によって、ラグビーの価値、スポーツの持つ体験価値を高め、今以上にラグビーが、スポーツが社会に価値のあるものだと伝えていけると思っています。
オリーブオイルは、自分が現地で口にして美味しさに感動した体験を他の人にも味わって欲しいということで販売することにしました。
(オリーブオイルの販売については別途取材済み → にしやんのオリーブオイルの紹介)
北軽井沢の別荘とキャンプに関しては、大工さんの教えてもらいながら自分で建物を改築して、その様子やそこで生活する様子をSNSで発信しているのですが、体験を見てもらうということから何が広がっていくのか楽しみながら行っています。
実際にラグビースクールの子供達がキャンプに参加したいといって来てくれるので、体験を見てもらって体験を共通するという流れにつながっています。
私がビジネスをする上でどの事業にも共通している軸は、自分の体験を通じて良いと思ったものや大切だと思ったものを体験してもらえる機会や環境を提供しているという点だと思います。
最後に西山さんの今後のビジョンを教えて下さい。
今は、ラグビーの後進国での指導に興味を持っています。
日本での活動もあるので実現するかわかりませんが関心があります。
現時点では今行っている事業への関心がある上で、ラグビーの後進国での指導に関する情報にも関心が向いているという感じです。
もし実現したら、その体験も自分の中に新しく増えるので、今後の活動がさらに分厚くなるのではないかと思っています。
本当に自由に生きているので、今後はどうなるわからない部分もありますが、ラグビーを軸にいろんな体験をして、その体験を様々な分野とつなげて社会に貢献していきたいです。
西山淳哉さんのホームページ、SNS
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事業別のホームページ、SNS
一般社団法人パルシップ
オリーブオイル販売 PUTIA SICILIA
JFAこころのプロジェクト夢先生
インタビューの感想
私はいつも西山さんのことを「にしやん」と呼んでいるのですが、インタビューを終えた後に記事をかこうとしたらにしやんの肩書をどう紹介していいのか迷いました。
もちろん一般社団法人の代表理事、オリーブオイル販売会社の代表取締役、ラグビーコーチ、夢先生などいくつかの立場があるのですが、どの事業もにしやんのバイタリティと飾らずに人と接することが出来る人柄で推し進めていっていて、肩書ではなくにしやんというキャラクターで仕事をしているという印象が強いです。
にしやんは「肩書が嫌い」と言っていますが、誰とでも自然体で付き合うことができて、相手にも余計な気を遣わさない人だからこそ今の活動があるように感じます。
今後引退することを意識していて、今後のキャリアに不安があるという人は、にしやんがこれまで歩んできたキャリアは参考になるのではないかと思います。
容易にまねできるものではないと感じるかも知れませんが、1つのことを楽しみながら真剣に向き合うこと、誰とでも同じ姿勢で付き合うことという基本的だけど、簡単ではないことの積み重ねが大切だということを学ばせてくれる人です。
私もインタビューを受けて記事を掲載して欲しいというアスリート、元アスリートはご一報下さい。
あなたのデュアルキャリア、セカンドキャリアに関する記事を掲載させて頂きます。
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インタビューの対象者、条件など