初めまして。AXIAの伊藤香子と申します。
普段は、キャリアコンサルタントとして活動しており、アスリートのキャリアに関する相談に対応することもあります。
今回の記事は、アスリートのキャリアにも役立つスキル【聴く力】について書いてみました。
「コミュニケーション」とは何なのでしょうか
早速ですが、経団連が毎年発表している「新卒採用に関するアンケート調査」によると、選考の中で重視した点は15年連続「コミュニケーション能力」が第1位。第2位は9年連続で「主体性」です。
この調査結果は、大学生が就職活動をする時にはもちろん、アスリートが引退後のキャリア形成に向けてどのような準備をしておけばいいのかというヒントにもなると思います。
1位にコミュニケーション能力とありますが、ビジネスの現場ではコミュニケーション能力に自信があるという方の多くはとても上手に話をされます。
しかし私は、よくしゃべる=コミュニケーション能力がある ではないと思っています。
周囲の話を聞かず、ひとりでしゃべっている人にコミュニケーション能力を感じることはありません。
とはいえ、全く言葉を発することなく無表情でじっと聞いているだけの人にもコミュニケーション能力を感じることはありません。
コミュニケーションの土台となる「聴く力」
「きく」には「聞く」「訊く」「聴く」といくつか漢字の違う「きく」がありますね。
それぞれを簡単にご説明すると、
「聞く」は何か音が耳に入る、くらいの聞き方です。
「訊く」は質問する、つまり自分から話すことも含まれます。
「聴く」は相手の言うことにしっかり耳を傾けることです。
コミュニケーションの中で重要な「きく」は「聴く」です。「傾聴」という言葉もよく使われます。
ここで、会社の中でよくあるシーンを取り上げてみます。
例えば、とても忙しい時に部下や後輩から話しかけられた(もちろん仕事のことで)とします。
部下、後輩 「すみません、ちょっといいですか」
上司、先輩 (PC、書類に目を向けたまま無表情で)「今忙しいから後で」
(部下、後輩の話し方にも問題はありますが今回は置いておきます)
これでは部下、後輩は二度と話しかけたくなくなります。
同じ状況でも
部下、後輩 「すみません、ちょっといいですか」
上司、先輩 (手を止めて、相手を見ながら柔らかく)「申し訳ない、至急の案件が
あるので、30分後でもいいかな」
そうすると部下、後輩は30分後に迷いなく上司、先輩に話しかけることができます。
忙しい時ほど手を止めて、話をしている相手をしっかり見て、聴く。
良好なコミュニケーションの第一歩だと考えます。
ぜひ試してみて下さい。
聴く力は今からでも磨くことができるスキルです
自分自身を思い返しても「話し方」は小さい頃からよく教えられたように記憶していますが、「聴き方」をしっかり教わったことはないように思います。
だからこそ私達が意識しなければできないことなのです。
アスリートは、社会に出てからも競技をすることで収入を得ている場合は、ビジネスの現場には他の社会人よりも遅れて参加することになります。
そのため、慣れない仕事を一から覚えていくことになり、苦労することも多いのではないかと思います。
しかし、話を聴く力は、現役生活の中でも高めることができるので、身につけておくことで新しい環境に溶け込むことに役立つはずです。
また話をしっかりと聴くことは、相手から信頼される要素にもなるので是非もにつけて欲しいスキルです。
アスリートは、引退をした後に指導者として競技の世界に残る人もいますが、その際にも聴く力は有効なスキルとなるでしょう。