好きなことを仕事にしてはいけない理由

今回の記事は、アスリートが引退後に新しい仕事を探す際の心構えについて説明しています。

アスリートが引退後に転職活動を行う際に、不十分な情報で漠然と活動して行き詰まることのないよう転職活動を有意義なものにできる情報を紹介していきます。
記事は、少しずつ増やしていきたいと思っているので、新しい記事を書いたら下記にリンクを設置するようにしていきます。

アスリート必見!適職探しのための情報一覧

好きなことは仕事にできるのか

「好きなことを仕事に!」という言葉は、就職や転職活動において比較的よく聞く言葉であり、耳障りも良いのでこの言葉を信じて仕事を探そうとする人もいると思います。
しかし、自分の好きなことを仕事にしたいと思った時、一度立ち止まって以下のようなことを考えて欲しいともいます。

  • 自分の好きなことは誰かの役に立つことなのか
  • 自分は好きなことを多くの人に比べて上手く行うことができるのか
  • 好きなことを仕事にしても、そのことを好きなままでいられるのか

仕事は、誰かの役に立つことをしなければ対価を受け取ることができません。
好きなことがあっても、好きなことを行うことが自分だけのメリットになるようなことでは仕事にならないのです。
また、好きなことが仕事になる場合、その行為を多くの人に比べて上手くできなければ、それを行っても充実感を得ることは難しいでしょう。

さらに自分が好きだと思っていることは、仕事として毎日行うようになっても好きなままでいられるとは限りません。
余暇の中で行うことであったり、自分の気持ちで自由に行うことができるからこそ好きだったのかもしれないという視点を持つことは、好きなことを仕事選びをする際に必要です。

好きなことを仕事にするということの現実

実際に好きなことを仕事にしたいと思って会社に入ったけど、思っていたほどの充実感は得られないという人もおられます。
なぜそのようなことになるかということに関して、これが理由なのではないかと思える興味深い研究結果があります。

好きなことを仕事にしても幸福感は変わらない

ミシガン州立大学の研究からは、好きなことを仕事にしても最終的な幸福感は好きなことをしようということにこだわらずに仕事を選んだ人と変わらないということが示されているそうです。
好きなことを仕事にしても、好きな仕事ができていることで得られる幸福度は長続きしないようです。

反対に、特に思入れはないけど、仕事だと考えたらできることを選んだ人は仕事に慣れてきたり、上達をしたり、結果を出すことなどで充実感が感じられるようになっていくためか、最初から仕事への期待度は低く、時間を掛けて仕事に慣れていくのでゆっくりと成功体験を積むことができるので、自己肯定感も増していきます。
そのため、結果的に仕事を好きになることもできるし、不満も抱きにくいので、その仕事を継続できるのではないかと思うのです。

好きなことができているということよりも、仕事の達成感や顧客からの感謝、自分の成長など、複合的な要素が組み合わさって感じるものの方が幸福感が大きく、長続きするのでしょう。
そういう意味では、仕事を始める前にそれが好きなことかどうかよりも、その仕事の中で行うことで複合的な喜びや充実感を感じられるようになる仕事を見つけられることが望ましいのではないかと思います

好きなことを仕事にしても長続きするわけではない

さらに衝撃的な事実があります。
好きなことを仕事にした人ほど長続きしないという結論がオックスフォード大学の研究で明らかになっているのです。
具体的な研究の内容について書くと長くなるので省きますが、結論を言うと仕事に対して一定の割り切りを持って向き合っている人の方が仕事のスキルと継続率という点で好きなことを仕事にした人よりも優秀だったそうです。

このような結果が出た理由は、仕事が上手くいかなかった時に好きなことを仕事にした人の方が迷いや自信の喪失が見られる傾向があり、割り切って仕事をしている人の方が仕事で何かあってもモチベーションが低下しにくい傾向があるそうです。

好きことよりも意義を感じること

好きなことを仕事にするということに関して上記のような研究結果が出ていますが、私自身の仕事の体験と重ねても納得のいく内容だと思います。
私はカウンセリングやコーチングを行う仕事をしていますが、人の話を聴くことが好きだから始めたのではなく、社会的に意義のあることであり必要性が高まってくることだと感じて仕事にしました。
そして、仕事として継続していく中で最初に感じていた意義も高まってきて、心のケアや成長の支援といったメンタルサポートの必要性も求められるようになってきています。
長く継続していると、仕事自体や立ち上げた会社への愛着も強くなっているように感じています。

好きなことが続くのではなく、続けたことを好きなる

ここでロイファナ大学が行った研究を紹介します。
仕事と情熱の関係に関する研究なのですが、この研究の結果では仕事への情熱は好きなことを仕事にしたかどうかよりも、その仕事に追いてどれだけ努力をしたかということ、その努力を継続していることによって大きくなるということが分かったそうです。

心理学の用語にグロウス・パッションというものがあります。
これは、継続することによって高まる情熱のことで、何となく始めたことだったとしても後からやりがいや面白みを感じるようになるという心理的作用です。

イェールNUS大学の研究では、グロウス・パッションを持つ人は、興味がないことだったとしても一生懸命取り組むことができるという傾向があるという結果が出ているそうです。
人との出会いや成り行きによって始めた仕事でも、やるからには一生懸命やろうとする人が成果を上げたり、周囲からの信頼を得ていくのは、グロウス・パッションが関係しているように思います。

まとめ

この記事のまとめとして言えることは、アスリートは子供のころからやってきた競技という“好きなこと”を仕事にしてきて、引退という形で好きなことを辞めることになりますが、新しく情熱を注ぐことができることは必ず見つかるということではないかと思います。

引退をすることで誰かに相談をしたり、人から声を掛けてもらうことによって何らかの仕事をする機会が得られたら、まずは真剣にその仕事に取り組んでみるということが自分が情熱を注げる仕事、自分の能力を活かせる仕事を見るけることにつながるのではないかと思います。

私から言えることは、「新しい仕事を探す際にどうしてもやりたくないことは省いても良いのではないか」ということと、「自分が1つの競技でアスリートと言えるところまで頑張って来れたのは、その競技のどのような側面に興味を持っていたのか考えてみよう」ということです。

世の中にはたくさんの仕事があるので、ある程度は仕事を探す目安があった方が何をするかを決めやすいと思います。
その際には、どうしても嫌なことを省くことで少し選択肢が減ります。
あとは、自分がやってきた競技に情熱を注げた理由を分析することによって、その要素を持った仕事を始めてみるという方針が立てることである程度は選択肢を絞れます。
絞った選択肢の中から何を始めるかを選んだら、とりあえず真剣に取り組み努力を重ねてみるという心構えを持って新しいことに挑戦して欲しいと思います。

■参考書籍
この記事は、下記の書籍を参考にして書いています。
仕事をどのように選んでいくことが望ましいか、根拠を示しながら説明してあるので、自分のキャリアについて考える手掛りとして読んでおくことをお勧めします。

アスリートが転職活動で気を付けること

転職活動で活用して欲しい知識と方法

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この記事を書いた人

衣川竜也

衣川竜也

株式会社AXIA 代表取締役
メンタルトレーナー、心理カウンセラーとして大阪を拠点に活動しています。
このサイトでは、主にアスリートのキャリア構築に関する心理的要素について
記事を書いています。

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