性格傾向から職業適性は判断できるのか

今回は、性格傾向から職業適性を判断できるかという疑問について記事を書きました。
アスリートが引退後に新しく何をするか考える時、性格傾向を手掛かりにできるのだろうかという疑問にいくつかの視点から説明していきたいと思います。

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性格形成と脳の仕組み

まず性格とは何かということですが、性格は生まれ持った特性と環境的要因によって成長とともに進化していく行動、認知、情動などのパターンの総合的な個人の特徴であると言えます。
そして、個人の性格がどのように進化していくかという点に関しては、人間の脳に備わった防衛反応が関係しています。
人間の脳は、環境に適応して生き残ることを無意識に行っているので、個人が生まれ持った防衛反応の傾向と環境の中で受ける刺激の組み合わせによって性格が作られていくと考えてもらえればいいかと思います。

上記のような視点から考えると、生まれ持った性格傾向が同じでもどんな環境で育ったかによって向いている仕事は変わります。
脳には可塑性というよく使う神経回路は強化され、機能を獲得していくという仕組みがあるので、生まれてからどんな環境で育ったかによって得意なことに違いが出てくるということです。
スポーツなら自分の専門分野の競技は上手くできるけど、運動能力が高くても初めてやる競技は上手くできないのは、可塑性によって専門分野の競技は上手くできるようになっていて、経験のない競技の技術は身についていないということです。
上記のようなことから考えると、性格とは生まれつき持っている性格傾向と環境から受けた刺激で進化していくものであり職業にもそれぞれの特徴があるので、自分の性格と職業の特徴が合っている仕事の方が成果を上げやすいと考えても良いかと思います。

性格テストで職業適性は判断できるのか

性格傾向と職業適性は関係があると考えると、自分の性格を分析するためのテストをすれば、職業適性が判明するのではないかと思い人もいるでしょう。
しかし、性格テストから職業適性を判断するのは容易ではありません。
なぜなら、性格テストは自分の主観の影響を受けるものが多いので、本来の性格傾向通りの結果が出ていない可能性があるからです。
理想化した自分や過小評価した自分を基準に性格テストを行うと、どうしても本来の自分からかけ離れた結果が出てしまうので、それを手掛かりに職業適性を判断することは難しいでしょう。
ただ、上記のことを踏まえた上で、1つの指標として性格テストの結果から職業適性について考えてみること自体は有益だと思います。
性格テストをする場合は、あくまで1つの手掛かりと用いて、他の要因と重ね合わせて職業適性を考えていくことをお勧めします。

この記事の最後に紹介している書籍では、1人の人間が就職後に企業で活躍できるかどうかを判断する際に、信頼度の高い適性検査があるのかを調べた結果を紹介していますが、結果をいうとどの指標も就職後のパフォーマンス予測には役立たないという結果が出ています。
具体的な内容は書籍で確認して頂ければと思います。

職業適性を判断する2つの視点

性格から職業適性を判断することは容易ではないということは理解して頂けたかと思いますが、それでも何らかの手掛かりがあった方が転職活動をしやすいということはわかります。
私は職業適性を判断するには、仕事を探している段階である程度自分の職業適性を予測すること、そして仕事を始めてから努力と経験を積んだ時にその仕事に向いているかどうか検討するという2つの視点が必要ではないかと思います。

仕事を始める前の職業適性の手掛かり

アスリートが引退をして新しい仕事を探す際には、自分の過去を振り返るしかどんな仕事に向いているかを判断する材料がありません。
では、競技ばかりしてきた人は、どのようにして職業適性の手掛かりを見つければいいのでしょうか。
それは、自分が打ち込んで来た競技のどのような要素に惹かれていたのか、どのようなことを考えて競技をしていたのかということを振り返るのです。

例えば、野球をしていた人なら、技術を高めることへのこだわりが人一倍強かった人なら新しい技術や知識を身に付けて行う仕事が向いているかもしれません。
チーム内の人間関係を気にして、良い雰囲気を保てるようにチームメイトとの関わり方を工夫していた人なら、人と関わる営業職や接客業が向いているかもしれません。
常にファンのことを考え、ファンが喜ぶためには何が必要かばかり考えていた人なら、エンターテイメントやマーケティングの世界があっている可能性があります。

このように野球に打ち込んでいた中でも、特に意識が向いていた要因を思い出し、その意識の向けた方や思考パターンが役立つ仕事は何かを考えて自分に合った仕事を考えるということができます。

仕事を始めてから見つかる職業適性の手掛かり

人間の脳は、よく使った神経ほど発達して、新しい知識や技術を獲得していくようになっています。
そのため、人間と職業の相性は、ある程度の努力と経験が積み重ならないとよくわからない部分もあるということが言えます。

とりあえず始めた仕事だったとしても、継続しているうちにその仕事に向いているのではないかと感じるようになったり、面白みが感じられて続けたい気持ちになることもあります。
また、性格的には選んだ職業は向いていても知識と技術が伴っていなくて上手くできなかった人が、経験によって知識と技術が身についたことによって忍耐力、共感力、想像力、堅実性、協調性などの性格的な特徴が活かされるようになり、うまく仕事に順応してくと言うケースもあります。

まとめ

職業適性を性格だけで判断することは難しいのですが、自分の性格傾向を正しく理解できている人ほど自分に合った仕事を連想する精度は高いと思います。
そのため自分の性格に合った仕事は何かということは、自分だけで考えるよりも自分のことを良く知っている人から意見をもらっておくのも良いかもしれません。
自分のことを客観的に見た意見であれば、自分1人で考えるよりも性格に合った職業を予測しやすいこともあるでしょう。

適職を探すのなら、自分だけでなく周囲から見た自分について情報を集めましょう。
そこに性格テストなどの適性検査の結果も交えて自分に合った職業は何かを予測すれば、1つの手掛かりで考えるよりも自分に合った職業が何か判断できる可能性があります。

そして、今の仕事が自分に合っているか判断するには、まずはその仕事でしっかりと努力をすることです。
努力をしてみないと自分の能力と仕事の内容が合っているか判断できません。
努力をして経験を積んだ時に、能力的にも心理的にも選んだ仕事が自分と合っていると感じたのであれば、ある程度自分に向いている仕事を見つけられたと言って良いのではないかと思います。

■参考書籍
この記事は、下記の書籍を参考にして書いています。
仕事をどのように選んでいくことが望ましいか、根拠を示しながら説明してあるので、自分のキャリアについて考える手掛りとして読んでおくことをお勧めします。

 

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この記事を書いた人

衣川竜也

衣川竜也

株式会社AXIA 代表取締役
メンタルトレーナー、心理カウンセラーとして大阪を拠点に活動しています。
このサイトでは、主にアスリートのキャリア構築に関する心理的要素について
記事を書いています。

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