今回は、仕事との向き合い方に影響するジョブクラフティングという心理的テクニックを紹介します。
引退したばかりのアスリートの中には、競技以上にやりがいを持てるものを探すのは難しいと感じてしまう人もいると思いますが、ジョブクラフティングを活用してセカンドキャリアと向き合えば競技生活と同じ、もしくはそれ以上のやりがいを見出して働くことが出来るかも知れません。
ジョブクラフティングとは何か
ジョブクラフティングというのは、自分の仕事に意味を見出すための思考法です。
自分がしている仕事に意味を見出していると取り組み方も積極的になり、働くことの満足感も高まります。
ジョブクラフティングを分かりやすく説明した“3人の石”という話があります。
クリストファー・レンという建築家は、ある日自分が設計したセントポール大聖堂の建築現場を視察して、3人の石工に同じ質問をしました。
「あなたはどんな仕事をしているのですか?」と。
そうすると下記のような答えが返ってきました。
1人目は「石を細かく切っているんです」と答え、
2人目は「生活費を稼いでいる」と答え、
3人目は「美しい大聖堂を建てている」と答えました。
1人目は、自分に与えられた仕事だけを意識して働いていて、2人目は生活をするために働いていて、3人目は自分の作業が何につながるかを意識して主体的に働いています。
ジョブクラフティングとは、3人目の石工が持っていた仕事の意味を見出して仕事に取り組む主体性を高めるために行う思考法です。
セカンドキャリアをジョブクラフティングの視点で考える
アスリートが競技生活にやりがいを感じられていたのは、3人目の石工の意識を持って競技をしていたからではないでしょうか。
自分が行っている素振り、ランニング、技術練習、体調管理など、すべてがオリンピックや世界大会で勝つこと、日本一になることなどの大きな目的につながっていると思えてたからこそ、アスリートとして生きることに充実感を感じることが出来ていたのではないかと思います。
セカンドキャリアを考える時、まだ新しい方向性が見つかっていない場合は自分は仕事にどのような意味を見出せば意欲的に働くことが出来るのかを考えて下さい。
自分は仕事にこのような意味を感じたら働きやすいということが分かれば、それに合った仕事を探しましょう。
新しい方向性が見つかって仕事を始めている人は、自分の仕事の意義は何なのかを考えて今の仕事をするモチベーションを高めましょう。
モチベーションが高まれば、仕事に充実感が感じられるようになると思います。
もし、自分が行っている仕事に意味を感じられない場合は、他の方向性を考えてみる必要があるかもしれません。
自分の人生観を整理してジョブクラフティングにつなげる
基本的には、どのような仕事にも意味はあり、やりがいもあるでしょうが、自分自身がすべての仕事に意味ややりがいが見出せるとは限りません。
ジョブクラフティングを活用して仕事との向き合い方を考える際には、自分はどんな人生観を持っているのかを整理してみることをお勧めします。
仕事をする主体は自分自身なので、自分が選んだ仕事が持つ意味と自分の人生観が合っている方がモチベーションは高まります。
例えば、大聖堂の建築なら、建築物への興味や関心が高い、大聖堂が立つ街を好きというような要素があった方が大聖堂を建てることへの意味を強く感じることが出来るので、仕事の取り組む方もより主体的になるでしょう。
アスリートは、競技生活に打ち込んできたことによって視野は狭い人も多いですが、競技以外の分野でも生き抜いていける人生観は競技生活の中で養われています。
引退後や引退を意識した時、自分の視野を広げて自分の人生観を当てはめた時に主体的に行動できるほどの意味を見出せる分野に進むことがセカンドキャリアの充実につながっていくと思います。
自分だけではジョブクラフティングを活用してキャリアを考えていくことが難しい場合は、キャリアコンサルタントなどに相談してみるのも良いかと思います。
■参考書籍
この記事は、下記の書籍を参考にして書いています。
仕事をどのように選んでいくことが望ましいか、根拠を示しながら説明してあるので、自分のキャリアについて考える手掛りとして読んでおくことをお勧めします。
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この記事を書いた人
衣川竜也
アスリートのキャリア構築を支援するオンラインサロン